交通事故で脳外傷、後遺障害として深刻

交通事故で頭を打って、脳外傷を負った場合に、気をつけたい8つの点があります。




1点目:脳外傷によるびまん性脳損傷

交通事故にあうと、頭の部分に損傷を受けることがあります。
頭部に外傷がある場合は頭がい骨骨折や脳挫傷などの局所性損傷、傷を受けてから6時間以上意識がなくなるびまん性脳損傷などにわけられます。


なお、意識が6時間以内に戻る場合は脳震盪としています。
びまん性脳損傷はびまん性軸索損傷ともよび、脳挫傷や血の塊がないのに意識が回復しないため、脳の細胞が広範囲に断裂したと考えられています。
脳を強く揺らした状態であっても起こることがあるので、直接頭を打っていないのに意識が戻らない場合はびまん性脳損傷を疑います。
症状としては軽度の場合は意識が数時間で戻ります。
ですが、傷を受けてから1日以内に意識が戻らず、重症化した場合は脳幹に作用してしまうので呼吸ができなくなり、さらに植物状態になり急に亡くなることもあります。
また、意識障害として後遺症が残ることもあります。


MRIやCTなどの検査で神経細胞に断裂があるか、出血や浮腫みはあるかなどがわかりますが、専門的な判断が必要となるので、脳の専門医に診てもらう方が安心です。


びまん性脳損傷は記憶障害や注意障害が起こりやすい特徴があり、交通事故後に高次脳機能障害が残ってしまうことがあります。
MRIの画像により脳に白い部分が多くある部分を見て高次機能障害と判断します。意識障害の時間が長ければ長いほど脳機能の障害が起こりやすくなり、高次機能障害が残りやすくなります。


後遺症によって等級が分かれており、最も重い1等級は常に介護が必要となり身の回りのことをすべて行ってもらうようになります。
軽い14等級のものは普通に生活をすることはできるが、軽い障害が残っている状態になります。
軽いものでは見た目では変ではなく、一般の人と同じですが、事故前とは違った人格になったり、
怒りっぽくなる、幼稚性がひどくなる、複雑な作業ができない、人の気持ちを汲み取ることができない、といった症状が現れます。
注意力がなくなったり、物忘れが激しい場合は高次機能障害と考えて良いでしょう。



交通事故後に高次脳機能障害になると見た目では変ではないので、普通に生活できると思ってしまいます。
ですが、脳はダメージを受けた状態が続いています。
年齢が若い時は損傷を受けた部分を補おうと回復を始めますが、年月が経ちすぎてしまうと若くても改善の可能性が低くなってしまいます。
脳神経外科かリハビリテーション科において適切な指導を受けることが大切になってきます。また、脳の萎縮が事故後3ヶ月以内にMRIなどを撮影しないと写らなくなることがあるようです。

2点目:高次脳機能障害について

「高次脳機能障害」とは、交通事故で脳外傷を負ったり、脳卒中などを発症した後に、それが原因となって、対人関係や日常生活に支障が出て、適応が難しくなる状態のことをいいます。
交通事故の後遺障害として深刻な状態となります。

高次脳機能障害の症状としては、「記憶障害」「注意障害」「遂行機能障害」「社会的行動障害」自己認識の低下」「失行症」「失認症」「失語症」などがあり、身体の障害としては、片麻痺や運動失調などが挙げられます。  




●「記憶障害」とは、事故の前に経験したことを思い出せなくなったり、事故後の新しい経験や情報を覚えられなくなった状態をいいます。
●「注意障害」とは、長時間1つのことに集中できないなど、周囲からの刺激に対し、必要なモノに意識を向けたり、意識を集中させることが、うまくできなくなった状態をいいます。
●「遂行機能障害」とは、論理的に考えて計画し、行動するといったことができない状態をいいます。自分で計画が立てられないので、誰かに指示してもらわないと行動できない状態となります。  
●高次脳機能障害の症状のひとつである「社会的行動障害」とは、多動症のように、じっとしていられなかったり、すぐに怒ったり泣いたり、感情の起伏が激しくコントロールができないなど、行動や感動を場面や状況に応じて、適切にコントロールすることができなくなった状態のことです。
●そのほかの症状として、自分自身の障害の存在を否定するなどの「自己認識の低下」、道具がうまく使えない「失行症」、人の顔が判別できない「失認症」、自分の思うことが言葉にできなかったり、相手の話が理解できないなどの「失語症」などが挙げられます。  




高次脳機能障害は、極めて外見からは見えにくい後遺障害であり、事故直後からしっかりと認定に向けた準備をしなければいけません。外見的には、事故による怪我が治癒しているように見えるため、周囲からの理解を得られにくいというのが特徴であり、社会復帰が困難になるだけではなく、家族の精神的・肉体的な負担も大きい後遺障害となります。

 交通事故による脳外傷を負った程度が大きければ大きいほど、高次脳機能障害が重症化する傾向にあります。また、どのくらい高次脳機能に障害があれば、高次脳機能障害といえるのかいついては、判断基準そのものが曖昧であるというのが現状です。頭蓋骨内の脳が、外力によって回転させられてひずみが生じてしまい、脳全体に損傷が生じてしまう「びまん性脳損傷」が、交通事故後に高次脳機能障害となるおもな原因となります。

運転中の天候不順と対応策

 高次脳機能障害の事故は重大な事故が多いかもしれませんが、頭部をぶつけた場合は起こりえます。
バイクとトラックの事故などで被害者の頭部が損傷しやすい事故はもちろん、天候不順で視界が良くない場合の事故でも起きえます。
 自動車を運転する際には様々な点に注意する必要があります。道路状況は勿論のこと、その時の天候も注意点のひとつです。特にあまりないと言う天候不順に際してはその対策を覚えておくことが、アクシデントの発生を防ぐことにもつながります。

 まず雹の場合です。雹は固い粒のような形状をしています。そのため激しい降雹になった場合には、車体が著しく傷つけられる恐れもあります。また滅多にないことですが、やはり激しい降雹により自動車のフロントガラスにひびが入ったと言うことも、実際に起きている事例です。ですから雹が降ってきた時には、できるだけ頑丈そうな屋内駐車場に非難するのが望ましいです。降雹は強くなると、視界不良などで運転に支障をきたすこともあります。



 ですからその点においても非難が望ましいのですが、もし近くにそのような場所が見つからないと言う場合は、周囲の道路状況を見ながら減速し、道路の左側に停車して状況が落ち着くのを待つのが対策です。降雹に伴うことが多い豪雨による冠水が起きている場合もあるので、浸水や冠水が発生しやすい道路は通らないようにすると言うのも対策です。次に濃霧の場合です。この場合、減速して車間距離を十分に保つようにします。

 そして視界を確保するためにライトをつけるのも対策ですが、この際は必ずロービームを使用します。ハイビームを使用すると、明りが霧に反射することで却って視界が妨げられる恐れがあるので注意が必要です。フォグランプが装備されている場合は、それを利用するとより一層、視界の確保に役立ちます。濃霧の状態によってはまっすぐ車を進めさせることすら、難しくなることもあります。よって無理をせず、車線誘導灯などを頼りにしながら、慎重に運転をするのが対策です。

 車を安全運転するには交通ルールを守るだけでは不十分です。天候不順に対しても気を付けなければなりません。 天候不順とは雨の日や雪の日など、晴れていて風が穏やかな日以外が該当すると考えておけばよいでしょう。一般的な天候不順でも注意が必要ではあるものの、天候がかなり悪化している状態ならもっと気をつける必要が出てきます。かなり悪化している状況として、雷雲の場合や竜巻の場合が挙げられます。

 まず雷雲の場合ですが、雷雲が発生すると同時に大雨が降ります。雷自体はあまり心配することはないでしょう。車は雷を路面へ流すことができますから、車内にいるのが最も安全です。対応策としてはむやみに車から降りないことです。 問題となるのが大雨です。運転中に雨水でスリップ事故を起こす危険が増します。急ブレーキや急ハンドルはやめるようにしましょう。特に水たまりに侵入した時には要注意です。水がたまりやすい道路や場所は避けて走行します。水没したり、エンジンが止まってしまうことがあるからです。

   続いて竜巻の場合の対応策ですが、雷雲の場合と比べると非常に危険な天候不順です。竜巻に巻き込まれると車ごと飛ばされてしまう危険があります。竜巻は移動することが多いため、竜巻から逃げるように走行すればよいと考えがちですが、進行方向の予測がつきにくいのが竜巻の特徴で、意外にも移動スピードが速く、追いつかれてしまうと厄介です。

 最も良い対応策は、速やかに車から降りて、近くの頑丈な建物に避難することです。木造では耐えられない確率が高いため、鉄筋コンクリート造のビルやマンションに避難するようにしてください。近くに建物がなければ側溝にうつ伏せになり、身体を丸めて飛ばされないようにしましょう。
 その他の場合でも、交通事故で頭部損傷を受けて、意識を少しでも喪失したケースではとにかく被害者側の交通事故弁護士に相談をして高次脳機能障害の疑いがないか、もし高次脳機能障害の疑いがあるなら立証するために受けておくべき検査や医証を確認して、れきれば示談交渉も依頼しましょう。高次脳機能障害は一見わかりにくい後遺障害ですが、将来に渡って介護が必要なケースも多いでしょう。
     last update : 2013.09.20